【ぼっちちゃんと社交不安障害】+【ブラックジャック精神科疾患エピソード 「霧」】解説

【ぼっちちゃんと社交不安障害】+【ブラックジャック精神科疾患エピソード 「霧」】解説

【ぼっちちゃんと社交不安障害】+【ブラックジャック精神科疾患エピソード 「霧」】解説

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作中にあげた解離性同一性障害について解説した動画はこちらです↓
アニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』梓川花楓/かえでの解離性同一性障害を解説

【少女の疾患の鑑別について】
動画本編で触れた少女の疾患の鑑別の続きをこちらでしたいと思います。

​​動画でも言及した、少女の症状が断続的なものなのか?単発なのか?というところですが、作中少女自身が語る症状は「12才の時」と「高校入学後」の2つの場面だけです。
​​もし少女の症状がこの2回だけならば、ほぼ単発のエピソードが2つと捉えられ、記憶がおぼろげである場合考えられる疾患として動画では取り上げなかった急性一過性精神病性障害があげられます。
​​急性一過性精神病性障害の症状は統合失調症そっくりで、幻覚や妄想が生じます。「急性」とあるように、症状は素早く一気あらわれることが特徴です。
​​しかし「一過性」であり、症状がおさまると、全く異常が見られない状態になります。
​​また、症状が出ていた時のことを患者さんに思い出してもらうと、「うーん、あの時のことは夢だったのかな?現実だった気もするんだけどなあ…」みたいな感じで「確信がすこし持てないなあ」みたいな感じになります。これを夢幻様反応と言い、急性一過性精神病性障害の特徴の一つです。
​​急性一過性精神病性障害においても緊張病症候群はありえますが、その経過中全ての記憶がおぼろげになり得る疾患として急性一過性精神病性障害であるならば、少女の発言がまさに矛盾しないものになると思います。
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​​もし統合失調症であれば、緊張病症状出現時は記憶がおぼろげになったとしても他の統合失調症の症状出現時の記憶は基本的にしっかりとあります。
​​しかしながら、統合失調症であったとして、実は記憶が確かにありながら記憶がおぼろげであるかのように少女が発言した可能性もあると思います。統合失調症とは思いたくない気持ちから、記憶が曖昧なフリをするというものです。しかし、統合失調症は基本的にその症状は現実であると言う気持ちが強く、自分は病気などではない、幻覚も妄想もないという気持ちがあらわれる疾患です。これは病気である自覚を持てない、病識がないと表現される統合失調症の特徴の一つです。故に記憶がおぼろげであるフリをするケースはあまり考えづらいところですが、病気の進行が軽度であれば、病識があることもあります。その場合、病気であることを誤魔化すような表現が出ることもありえると思います。
​​また、作中少女の統合失調症の症状がなかったことにはブラックジャックが統合失調症の治療薬、抗精神病薬を持参しており、これを少女に内服させていた可能性もあるかもしれないとは思います。
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​​緊張病症候群の発生頻度からすると、双極性感情障害とうつ病の可能性を考えなくてはいけません。
​​少女は高校生活に憧れるような、ある種真面目な欲求を持ちつつも銀行強盗をしてしまうような、かなり社会的に逸脱した行為をするところがあります。これを躁状態で行われたものと考えることはできなくもないですが・・・積極的にそう考えるにはあまりに偏った推測な感じがします。自◯を考えるくらいに絶望している人がもうどうにでもなれと犯罪を犯すことはあり得ることだと思います。また、双極性障害の平均発症年齢は30代であり、小児期の発症もあり得るものではありますが、頻度として最初の緊張病エピソードである12才時に双極性感情障害を発症したと積極的に疑うべきかというと疑問です。
​​うつ病に関しては少女は希死念慮もありますが、ブラックジャックの対応により短期間で気持ちに変化が見られています。うつ病症状としての希死念慮であればここまで短期間で薬物療法もなく回復することは考えづらい印象です。症状にある程度の波があったうつ病の可能性は否定はできませんが、作中少女のセリフにうつ病症状と思われるところは希死念慮以外は無く、やはりこちらも積極的には疑えない印象です。
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​​結論として、実際のところは可能性の大小の問題であり、統合失調症を含めて緊張病症候群を生じ得る疾患、これに加えててんかん、急性一過性精神病性障害、解離性障害も含めて全て可能性はあると思えます。
​​ただ、持続的に現れている症状が確認できないところ、記憶がおぼろげ、あるいは無いと思われるところ、治療によって症状が悪化したという少女のセリフを考えると、てんかんは疑わしい疾患の筆頭にあげたいところです。
​​少女は緊張病症状と思われるエピソードしか作中語らず、それ以外の症状の言及が無いところが疾患を絞り込むことを困難にしているわけですが、もし急性一過性精神病性障害であれば全ての症状の記憶がおぼろげなものになり、症状のエピソードの少なさも合わせて考えても矛盾しないものと思えます。
​​どの疾患の可能性も考えられる時は決めつけてはいけないものですが、ウプ主の見解として疑わしさに順位をつけるならば、てんかんと急性一過性精神病性障害を先頭に置きたいと思います。
​​次いで、解離性障害を考えたいところです。
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​​診断を確定するために、まずはてんかんの可能性を考えて脳波検査をしっかりやっておきたいところです。
​​もちろん低ナトリウム血症といった電解質異常、脳腫瘍のような器質性の疾患も鑑別には残ります。
​​血液検査やCT検査もしっかりとやっておきたいところです。
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引用:
ぼっち・ざ・ろっく!
著:はまじあき
芳文社、アニプレックス

「ブラックジャック」/講談社
著:手塚治虫

今回引用のエピソード「霧」は↓こちらに収録されています。

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